柴田真央|重要伝統的建造物保存地区における災害対策の現状と課題?村田町村田伝統的建造物保存地区を事例に?
静岡県出身
北野博司ゼミ
目 次 1章 はじめに/2章 重要伝統的建造物群保存地区の特徴?課題/3章 村田町村田伝統的建造物保存地区/4章 災害対策と被害の実態/5章 考察
本研究では伝統的建造物保存地区の保存と活用を継続させていく上で必要な災害への対策や課題点を明らかにしていくことを目的に、村田伝建地区における災害(地震?地震から発生する可能性のある火災)対策や東日本大震災での被害実態、村田町での災害に対する認知?取り組みや補助制度の実態を調査し、伝統的建造物群保存地区に災害が観光?歴史の保存継承という2つの面でどの様な影響を及ぼしているのか、防災対策面でどの様な課題が挙げられるか考察を行った。
村田伝建地区は宮城県南部の内陸部に位置する宮城県で唯一の重伝建地区である。「近代になって意匠的に発展した当地方特有の店と門が交互に並ぶ特徴ある町並みを良く残し、さらには、敷地内の主屋、土蔵、納屋などが良く残り、特徴ある歴史的風致を良く残し、我が国にとって価値が高い。」と評価を受け、平成26年(2014)に重伝建地区に選定されている。しかしその様な評価を受けている一方で、村田伝建地区は平成23年(2011)に計7回の震度4以上の地震に見舞われ大きな被害を出している他、村田伝建地区が重伝建地区に選定された平成26年(2014)から188体育4年(2022)までにも震度4以上の地震が計8回発生。地震発生の度に様々な被害を受けている。
村田伝建地区における災害対策?被害実態を調査していく中で私は、今後発生する可能性の高い災害の被害を抑制していくために、各団体の災害発生後の活動の周知と災害発生後に発生する事象の予測、村田伝建地区のソフト面での防災対策強化、住?同士のコミュニティ強化の4つについての施策が必要であると考えた。各団体の災害発生後の活動の周知には住民の災害に対する不安の抑制効果や歴史資料紛失等の事態を防ぐ効果、災害発生後に発生する事象の予測には災害発生後の迅速な対応を可能にし、二次被害を抑制する効果、村田伝建地区のソフト面での防災対策強化には住民の災害意識を高め、災害発生時に適切な対応を迅速に行う事が可能となる効果、住?同士のコミュニティ強化には相互援助による災害被害の抑制の他にもまちづくりの活動の際に住民同士の協力により大規模な活動が実施可能となるなど、村田伝建地区の災害被害抑制だけではなくこれからのまちづくりに対してもプラスの影響があると考えている。